2020年 01月 28日
アウシュビッツのみこころ The Sacred Heart on the wall in the cell of Auschwitz |

アウシュヴィッツ解放から75年。
2年前の夏にアウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所に行った。観るべき場所が多いわりに時間が限られていたせいか、今思い出すことは見事に断片的に砕けている。
2年前の夏にアウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所に行った。観るべき場所が多いわりに時間が限られていたせいか、今思い出すことは見事に断片的に砕けている。
ビルケナウに収容者を運んだという窓もドアもない貨車の、行き止まりの鉄道のまさにその場所に見事に朽ち果てたガス室の跡があり、何の段取りもなく、即物的な対応で殺戮が繰り返されたことが手に取るようにわかって、さすがに衝撃を受けて立ち止まった。その線路を小学生くらいの少女が楽しげにバランスを取りながらふざけて歩いて行く姿を見た我々のグループのガイドだったワンダさんが「それはオリジナルなのよ、わかってるの?」と叱りつけていた。その真剣さをまず今は思い出している。
アウシュビッツの、コルベ神父が亡くなった、主にナチスが政治的、思想的に問題視した人々を収容したという建物は想像以上に立派で、一種の聖域のようになっていた。流れ作業のように見学者も通過しなくてはならず、もっとゆっくりできたらいいのに、と思ったけれど、しかたがなかった。コルベ神父の独房の隣の独房に刻まれたというイエスのみこころと十字架のポストカードを買った。そのカードを見たときに、悲惨な運命をたどった数多くの犠牲者と、その思いをくみ取るにはあまりにも軽い、不埒な観光客としか言えない自分をつなぎ止めるものを見つけた思いがして救われるようだった。イエスの聖心の絵、というよりは傷跡。作者はステファン・ヤシェンスキ。リトアニア生まれ。彼は生きて帰ることはなかった。
絶望しかない房の中で刻まれた、みこころの傷跡。この傷跡が忘れ去られず人々の心に刻まれますように。
by brunodujapon
| 2020-01-28 22:55
| 抹香紀行















