2005年 08月 25日
映画バトン |
yorakuさんのところから「映画バトン」を拾ってきました。音楽バトンに続き二本目です。フォーマットはyorakuさんのものを使わせていただきました。
◆Q1 所有している映画の本数は?
自分で録画したものは除外、音楽DVD、VTRも除外。というわけで数えてみました。途中で数えなおしたりしてちょっとわからなくなりましたが、だいたい120本強。何時の間にこんなに増えたのか。8割はDVDです。
◆Q2 最後に買ったDVDは?
mintさんの記事を読んで、おもしろそうだなーと思った『キッチン・ストーリー』。でもまだ観ていません。届いたばかりだし、どうしても買ってしまうと安心感で観るのが遅くなってしまうのです。
◆Q3 最後に観た映画は?
『海を飛ぶ夢』かな。6月末ですから、最近じゃないですよね。気になる映画はケベック映画の『大いなる休暇』、それからマイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク』、それから『ヒトラー最後の12日間』。『大いなる休暇』はちょっと出遅れました。これはDVD鑑賞になりそうです。
◆Q4 良く観る、または特別な思い入れのある5本は?
難しいな、と思いつつ、意外にも早く選べました。ポイントは「いつ、何度見ても、泣けてくる極私的映画」。ですから誰が観ても楽しめる「おすすめの映画」とはちょっと違います。泣きのツボもそれぞれに違うので全部趣きの異なる映画ですが、なぜか観終ったあとは心地よい放心の中でしばしただよっている、そんな感じの映画です。
『南東から来た男』(アルゼンチン・1986)
アルゼンチンの、そんなに新しくない映画です。でもこの一本は自分にとって「絶対の一本」です。公開当時は「大人のためのE.T.」と評された作品で、「人間はなぜ感動するのか」ということがテーマにすえられています。精神科医デニスのもとにやってきたのは宇宙からやってきたと主張するランテース。ほどなくしてランテースをめぐって奇妙な現象がおきはじめます。周囲の患者たちの心を波立て数々のちいさな奇蹟を起こしながら患者たちにとっては救世主、病院にとっては危険人物とみなされるようになります。ランテースとデニス、そして二人にかかわってくる、ランテースの妹と名乗るベアトリス。三人の関係を軸にしながら、物語は謎の核心へ糸をたぐるように引き寄せられてゆきます。
ライティングなども自然光で撮っているのではないかと思われるような、バロック絵画的な暗さが印象に残ります。ラテンアメリカの映画らしくランテースとデニスの関係がイエス・キリストとイエスを裁いたとされるポンテオ・ピラトの関係になぞえられるあたり、自分好みの「ド抹香映画」です(笑)。してみると登場しないけれど、その存在がほのめかされるランテースとベアトリスの「父」とは神にほかなりません。
『ソング・オブ・サマー』(イギリス・1968)
この映画は、といったところで既に大嘘八百八町(笑)。映画ではなくケン・ラッセルがBBCのために撮った番組なのです。でもこれをあげないと悔いが末代まで残ります。それくらい好きな作品です。イギリスの作曲家フレデリック・ディーリアスの一種の伝記映画なのですが、若いときの放蕩のために梅毒に侵され失明したディーリアスのアシスタントとして彼のもとにやってきた青年エリック・フェンビーの目からディーリアスの晩年の姿が描かれています。献身的な妻イェルカ、わがままだけど病んでなお音楽への情熱を燃やす「精神の青年」ディーリアス、そしてディーリアスに困惑と腹立ちを覚えながらも彼の音楽に魅せられ、敬愛の念をささげるフェンビー。ディーリアスの音楽とラッセルの映像の出会いはほんとうに奇蹟のような感動を感じさせてくれます。亡くなったディーリアスの遺骸にイェルカが庭でつんだ白いアザレアの撒き散らすラストの美しさには絶句させられました…ってくらい好きだってことですが(笑)。
ラッセルの映画の主人公は悩むとよく走るのですが(笑)、この監督の内心の若々しさを感じさせてくれてとても好きな演出です。
『クリクリのいた夏』(フランス・1999)
一言で言うなら幸福感に満ち溢れた映画です。タイトルの邦題はあんまり、というかほとんど意味不明なんですが(原題は「沼地の子供たち」)、欠点ってそれくらい。少女クリクリの子供時代の物語なのですが、クリクリの無学な父親を演じるジャック・ヴィユレがとてもいいです(残念ながら今年亡くなりました)。暢気でだらしなくて、でもそれが魅力、という人物を好演しています。そして周囲の人々もみんな個性派ぞろい。特に「高等遊民」アメデさんはなかなかお気に入りのキャラクターでした。このアメデを演じていたアンドレ・デュソリエ氏が、『赤ちゃんに乾杯!』でスケコマシのスチュワードを演じていたとは。俳優ってバケ物です。
観終わったあとの幸福感は、なんともいえません。そして幸福というのは過ぎ去ってしまうもの、失われるものだという厳然たる事実も同時に突きつけつつ、だからこそ美しいのだ、というフランス映画らしい、ご都合主義でないハッピーエンドもまた素敵です。
『ジュリオの当惑(とまどい)』 (1985・イタリア)
ナンニ・モレッティの若いときの作品ですが、彼本人が主人公の若き神父を演じています(モレッティの声は特徴的でとても耳障りがよいです)。左派の活動家だったジュリオはその後司祭となりちいさな島に赴任していましたがローマの、自分が生まれ育った地域に帰ってきます。そこで出会うのは妹の妊娠や先任司祭の愛人問題、かつての友の挫折、そしてトドメが母の自殺。司祭としての理想とそれからあまりにも隔たった現実にジュリオは悩み、周囲に全く期待されず愛されていないことに失望した彼は最終的にこの地域から去っていくことを決意します…と大雑把なストーリーを書くとなんだか深刻そうなのですが、基本的に明るいトーンの映画で困った人々もどこか戯画化されて描かれています。幸福はここにある、と最後に挿入されるカンツォーネ『リトルネライ』を聴きつつまたしても涙、でした。
『トーク・トゥ・ハー』(スペイン・2002)
アルモドバルにしてはアクの強くないほうの部類ですが、それでもちょっと奇妙な愛の姿を描いた映画です。バレエを踊る女の子に恋した看護士のベニグノ。交通事故のためComaの状態に陥った彼女を献身的に介護するベニグノと、同じように不慮の事故で人事不省になった女闘牛士の恋人をみまもるマルコ。やがて二人の間に友情が生まれ…というようなストーリー。奇妙な愛はやがて悲劇的な破綻を迎えるのですが、ズシーンと重いけれども何か誰かと語り合いたいような気持ちが残る映画です。
でも、番外として惜しくも選にもれた作品、タイトルのみ紹介しますね。既に紹介ずみのものもありますし、また項を改めて書くこともあるでしょう。
『キャメロット・ガーデンの少女』
『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』
『イノセント・ライフ』
『女はみんな生きている』
『ストーカー』
『エル・スール』
『マゴニア』
『ロング・エンゲージメント』
『しあわせな孤独』
『人生は、時々晴れ』
『グッバイ、レーニン!』
『ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア』
『女はみんな生きている』は良く観る映画、ということだったら間違いなく選んでいた映画です。楽しいスピード感あふれる痛快な映画です。特に女性におすすめです。『赤ちゃんに乾杯!』のコリーヌ・セロー監督作品。この映画は誰が観ても好きになる映画じゃないでしょうか。
◆Q5 次に回す5人
一応、ここで止めますが、拾ってくださる方は是非おねがいします。mintさんのバトンはちょっと読んで見たい気持ちがします。mintさん、いかがでしょうか。(と指名してみる…結局これも回したことになるのでしょうか)。
◆Q1 所有している映画の本数は?
自分で録画したものは除外、音楽DVD、VTRも除外。というわけで数えてみました。途中で数えなおしたりしてちょっとわからなくなりましたが、だいたい120本強。何時の間にこんなに増えたのか。8割はDVDです。
◆Q2 最後に買ったDVDは?
mintさんの記事を読んで、おもしろそうだなーと思った『キッチン・ストーリー』。でもまだ観ていません。届いたばかりだし、どうしても買ってしまうと安心感で観るのが遅くなってしまうのです。
◆Q3 最後に観た映画は?
『海を飛ぶ夢』かな。6月末ですから、最近じゃないですよね。気になる映画はケベック映画の『大いなる休暇』、それからマイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク』、それから『ヒトラー最後の12日間』。『大いなる休暇』はちょっと出遅れました。これはDVD鑑賞になりそうです。
◆Q4 良く観る、または特別な思い入れのある5本は?
難しいな、と思いつつ、意外にも早く選べました。ポイントは「いつ、何度見ても、泣けてくる極私的映画」。ですから誰が観ても楽しめる「おすすめの映画」とはちょっと違います。泣きのツボもそれぞれに違うので全部趣きの異なる映画ですが、なぜか観終ったあとは心地よい放心の中でしばしただよっている、そんな感じの映画です。
『南東から来た男』(アルゼンチン・1986)
アルゼンチンの、そんなに新しくない映画です。でもこの一本は自分にとって「絶対の一本」です。公開当時は「大人のためのE.T.」と評された作品で、「人間はなぜ感動するのか」ということがテーマにすえられています。精神科医デニスのもとにやってきたのは宇宙からやってきたと主張するランテース。ほどなくしてランテースをめぐって奇妙な現象がおきはじめます。周囲の患者たちの心を波立て数々のちいさな奇蹟を起こしながら患者たちにとっては救世主、病院にとっては危険人物とみなされるようになります。ランテースとデニス、そして二人にかかわってくる、ランテースの妹と名乗るベアトリス。三人の関係を軸にしながら、物語は謎の核心へ糸をたぐるように引き寄せられてゆきます。
ライティングなども自然光で撮っているのではないかと思われるような、バロック絵画的な暗さが印象に残ります。ラテンアメリカの映画らしくランテースとデニスの関係がイエス・キリストとイエスを裁いたとされるポンテオ・ピラトの関係になぞえられるあたり、自分好みの「ド抹香映画」です(笑)。してみると登場しないけれど、その存在がほのめかされるランテースとベアトリスの「父」とは神にほかなりません。
『ソング・オブ・サマー』(イギリス・1968)
この映画は、といったところで既に大嘘八百八町(笑)。映画ではなくケン・ラッセルがBBCのために撮った番組なのです。でもこれをあげないと悔いが末代まで残ります。それくらい好きな作品です。イギリスの作曲家フレデリック・ディーリアスの一種の伝記映画なのですが、若いときの放蕩のために梅毒に侵され失明したディーリアスのアシスタントとして彼のもとにやってきた青年エリック・フェンビーの目からディーリアスの晩年の姿が描かれています。献身的な妻イェルカ、わがままだけど病んでなお音楽への情熱を燃やす「精神の青年」ディーリアス、そしてディーリアスに困惑と腹立ちを覚えながらも彼の音楽に魅せられ、敬愛の念をささげるフェンビー。ディーリアスの音楽とラッセルの映像の出会いはほんとうに奇蹟のような感動を感じさせてくれます。亡くなったディーリアスの遺骸にイェルカが庭でつんだ白いアザレアの撒き散らすラストの美しさには絶句させられました…ってくらい好きだってことですが(笑)。
ラッセルの映画の主人公は悩むとよく走るのですが(笑)、この監督の内心の若々しさを感じさせてくれてとても好きな演出です。
『クリクリのいた夏』(フランス・1999)
一言で言うなら幸福感に満ち溢れた映画です。タイトルの邦題はあんまり、というかほとんど意味不明なんですが(原題は「沼地の子供たち」)、欠点ってそれくらい。少女クリクリの子供時代の物語なのですが、クリクリの無学な父親を演じるジャック・ヴィユレがとてもいいです(残念ながら今年亡くなりました)。暢気でだらしなくて、でもそれが魅力、という人物を好演しています。そして周囲の人々もみんな個性派ぞろい。特に「高等遊民」アメデさんはなかなかお気に入りのキャラクターでした。このアメデを演じていたアンドレ・デュソリエ氏が、『赤ちゃんに乾杯!』でスケコマシのスチュワードを演じていたとは。俳優ってバケ物です。
観終わったあとの幸福感は、なんともいえません。そして幸福というのは過ぎ去ってしまうもの、失われるものだという厳然たる事実も同時に突きつけつつ、だからこそ美しいのだ、というフランス映画らしい、ご都合主義でないハッピーエンドもまた素敵です。
『ジュリオの当惑(とまどい)』 (1985・イタリア)
ナンニ・モレッティの若いときの作品ですが、彼本人が主人公の若き神父を演じています(モレッティの声は特徴的でとても耳障りがよいです)。左派の活動家だったジュリオはその後司祭となりちいさな島に赴任していましたがローマの、自分が生まれ育った地域に帰ってきます。そこで出会うのは妹の妊娠や先任司祭の愛人問題、かつての友の挫折、そしてトドメが母の自殺。司祭としての理想とそれからあまりにも隔たった現実にジュリオは悩み、周囲に全く期待されず愛されていないことに失望した彼は最終的にこの地域から去っていくことを決意します…と大雑把なストーリーを書くとなんだか深刻そうなのですが、基本的に明るいトーンの映画で困った人々もどこか戯画化されて描かれています。幸福はここにある、と最後に挿入されるカンツォーネ『リトルネライ』を聴きつつまたしても涙、でした。
『トーク・トゥ・ハー』(スペイン・2002)
アルモドバルにしてはアクの強くないほうの部類ですが、それでもちょっと奇妙な愛の姿を描いた映画です。バレエを踊る女の子に恋した看護士のベニグノ。交通事故のためComaの状態に陥った彼女を献身的に介護するベニグノと、同じように不慮の事故で人事不省になった女闘牛士の恋人をみまもるマルコ。やがて二人の間に友情が生まれ…というようなストーリー。奇妙な愛はやがて悲劇的な破綻を迎えるのですが、ズシーンと重いけれども何か誰かと語り合いたいような気持ちが残る映画です。
でも、番外として惜しくも選にもれた作品、タイトルのみ紹介しますね。既に紹介ずみのものもありますし、また項を改めて書くこともあるでしょう。
『キャメロット・ガーデンの少女』
『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』
『イノセント・ライフ』
『女はみんな生きている』
『ストーカー』
『エル・スール』
『マゴニア』
『ロング・エンゲージメント』
『しあわせな孤独』
『人生は、時々晴れ』
『グッバイ、レーニン!』
『ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア』
『女はみんな生きている』は良く観る映画、ということだったら間違いなく選んでいた映画です。楽しいスピード感あふれる痛快な映画です。特に女性におすすめです。『赤ちゃんに乾杯!』のコリーヌ・セロー監督作品。この映画は誰が観ても好きになる映画じゃないでしょうか。
◆Q5 次に回す5人
一応、ここで止めますが、拾ってくださる方は是非おねがいします。mintさんのバトンはちょっと読んで見たい気持ちがします。mintさん、いかがでしょうか。(と指名してみる…結局これも回したことになるのでしょうか)。
by brunodujapon
| 2005-08-25 00:12
| 映画