2006年 09月 24日
マイ・アーキテクト My Architect - A Son's Journey |
ずっと日本公開を待ち続け、そしてようやく公開されたと思ったらタイミングが合わず劇場にいけず、さらにDVD発売を心もとなく待ち続けた果てに、ようやくです。建築家ルイス・カーンの息子、ナサニエル・カーンによる、ドキュメンタリーです。
そもそもカーンに惹かれたのは、建築家としてよりも、神秘家としてのカーンでしたが、息子の描くカーンはどちらでもなく、父と息子というパーソナルな関係、息子が父に抱くパーソナルな関心、ということに的が絞られていました。カーンが本妻のほかに二人の愛人を持ち、それぞれの間にひとりずつ子供をもうけていた、ということも知らなかったので(ナサニエルは二人目の愛人の息子として育ち、11歳で父に死別するまで、やや特殊な形で父親と接していたのでした)。
三つの家庭で父親として、夫として生きていた謎めいた男としてのカーンに複雑な思いを抱きながら育った息子の、父との和解(別に憎んでいたわけでもないのですが)の旅、といったところですが、そのせいか、インタビューに答える人々の、感情が表に出てくる瞬間を実にうまくとらえて切り取った作品だという印象を受けました。カーンの思想は語られるにしても、それは彼の謎めいた行動から間接的に読み取れるものだけにとどまっています。それは不満でもあり、新鮮でもありました。カーンを描いた作品ではあるのですが、伝記ではないです。むしろ父と息子のドラマ、というふうに思ったほうがしっくりくる感じがします。
ラストのバングラデシュの国会議事堂(画像の建物です)のあたりは、しかし圧巻でした。すごい建物です。見る機会があれば是非観てみたいです。
by brunodujapon
| 2006-09-24 22:37
| 映画